所得税における寡婦(夫)控除と改正案について

money

今回は寡婦(夫)控除について説明します。

Ⅰ ニュース解説

2019年12月13日に、未婚のひとり親の所得税軽減措置を取るため、
寡婦控除の対象を拡大することが決定しました。

未婚のひとり親の税軽減 寡婦控除の適用対象に―税制改正』(2019年12月13日)

まとめると→

①寡婦(夫)控除の対象拡大
未婚のひとり親を寡婦(夫)控除の対象に加える
・年間所得500万円以下の世帯は課税所得から最大35万円を差し引く
・住民票で事実婚であることを届け出ている場合は対象から外す

②寡婦(夫)控除の見直し
・現在の寡夫控除では男性のみに500万円以下の
 所得制限が設けられているが
 女性の控除(寡婦控除)にも同様の制限を設ける
・課税所得からの差引額も男性一律27万円だったものを、
 子供がいる場合は35万円に引き上げる

寡婦(夫)控除とは所得税の控除の一つになるのですが、
そもそも所得税の控除とはなんでしょう?

Ⅱ 所得税の控除には14種類ある

所得控除とは所得税の税額を計算する際に、
条件を満たすと一定額が差し引かれる措置のことで、
以下のように計算されます。

 ( 収入金額 - 所得控除額 ) × 所得税率 = 税額控除額

また、「所得控除」と「給与所得控除」は似て非なるものです。

所得控除:申告しないと控除されない
給与所得控除:何もせずとも給与から控除される

また所得控除には厳密にいうと、
①所得税における所得控除 と
②住民税の所得割額における所得控除
がありますが、ここで取り上げているのは
所得税の控除における所得控除
です。

所得税の控除には以下の14の種類があります。

①雑損控除
②医療費控除
③社会保険料控除
④小規模企業救済等掛金控除
⑤生命保険料控除
⑥地震保険料控除
⑦寄附金控除
⑧障害者控除
⑨寡婦(夫)控除
⑩勤労学生控除
⑪配偶者控除
⑫配偶者特別控除
⑬扶養控除
⑭基礎控除

参考:国税庁ホームページ

Ⅲ(特別)寡婦(夫)控除の要件

さて今回話題になっているのは、
上記の中の寡婦(夫)控除というものです。

現在は以下のように決まっています。

<寡婦控除>

一般の寡婦とは以下の要件で定義されています。

A:
・夫と死別もしくは離婚したあと婚姻していない人
 もしくは夫の生死が明らかでない一定の人
かつ
・扶養親族がいる人または生計を一にする子*がいる人

*この場合の「子」は、年間所得が48万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られる。

B:
・夫と死別もしくは離婚したあと婚姻していない人
 もしくは夫の生死が明らかでない一定の人
かつ
・受給者本人の所得金額が500万円以下の人

<特別寡婦控除>

特別の寡婦とは以下の要件で定義されています。

・夫と死別もしくは離婚したあと婚姻していない人
 もしくは夫の生死が明らかでない一定の人
かつ
・扶養親族である子がいる人
かつ
・受給者本人の所得金額が500万円以下である人

<寡夫控除>

寡夫控除は以下の要件で定義されています。

・妻と死別もしくは離婚したあと再婚をしていない人
 もしくは妻の生死が明らかでない人
かつ
・生計を一にする子*がいる人
かつ
・受給者本人の所得金額が500万円以下である人

*この場合の子は、年間所得が48万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られる。

参考:日本年金機構ホームページ

以上の条件を満たす、寡婦、特別寡婦、寡夫はそれぞれ
27万円、35万円、27万円の控除を受けることができます。

⚠️ここで[注意してほしい点]は

・「夫」や「妻」とは、民法上の婚姻関係のことを指し、いわゆる事実婚は該当しない
・寡夫控除には生計を一にする子がいることに加えて、所得金額の上限があるという点(上記の寡婦控除のAの場合には所得制限はない)

です。

Ⅳ 税制改正で変更の可能性がある箇所

さて、冒頭のニュースで令和2年度税制改正における
寡婦控除の対象変更について紹介しました。

Ⅲの[注意してほしい点]で述べた箇所が変更になる可能性が高いです。

・シングルマザーなど未婚の一人親について、寡婦控除と同等の新制度を創設。
 →婚姻歴の有無による差を縮小
 (児童扶養手当を受けとっている人を対象に、
  年間最大35万円の所得控除が受けられるようにする方向)

・男性だけ500万円以下の所得制限がある現状を見直し。
 →女性にも所得制限を設ける方向で検討
 (男女とも男性の500万円以下にそろえる案が有力)

Ⅴ終わりに

寡婦控除は1951年に戦争で夫を亡くした妻のために、
作られたのが最初だったのですが、
時代が変わるとともに保証の内容や制限も変化してきているんですね。

私からすると、「女性」、「男性」、「妻」、「夫」と
区切っていることにも違和感を感じてしまいますが、
そこまで変更になってくるのはまだ先のことでしょうね、、、!

最後までお読みいただきありがとうございました!🙇‍♀️

タイトルとURLをコピーしました